Satoshi SATO | LIVING WITH TEA - GLASS WORKS
2024年4月26日(金) - 5月13日(月)
摂氏1300度の炎泉から
すくい上げた硝子の魂が
金属棹の先っぽで燃えている
雨のように滴りながら伸びて
燃えながら氷のように固まっていく
硝子という叡智
溶けた硝子が固まるまでのわずかな時間のなかに
佐藤さんは30年間立ち続けている
形をあたえられるまえに
一瞬の自由をもとめようとする硝魂の勢いを
手なずけるアルケミスト
この難解な仕事のなかで
遊んでいますと佐藤さんが笑う
今年の新茶展では、ガラス作家の佐藤聡さんをお迎えします。
透過しながら存在し、内外を繋ぎながら分かち合うガラスという極端な素材に挑み続ける佐藤さん。専門とするマウスブロー(吹きガラス)は非常に高度な技術を要します。熱せられたガラスが高炉から取り出され急速に冷えて固まるわずかな時間の出来事です。
器、道具としての実直を徹底するだけでなく、エレガンスをまとう佐藤さんの造形は、古典に学びつづける美の源泉と、圧倒的な仕事量のなかで体得した技が、無意識のなかで繋がり合うことでしか成し得ないものです。
ガラスの絞り出しや湯冷まし、湯呑みや茶杯のいろいろ、茶盌、菓子皿、ゴブレットやコンポート、そして花器など、煎茶や中国茶、抹茶、いずれにも悦べる道具たちがたっぷりと並びます。
砂から生まれたガラスのなかに、茶樹の葉と水を湛える心遊びにどうぞお越しください。
佐藤聡 | Satoshi SATO
1965年長野県生まれ。建築とデザインを学び、住宅設計業務に携わる。その後、富山ガラス造形研究所にてガラス造形を学ぶ。ステンドグラス制作会社や、ドイツのガラス工房にて作品制作を経て、2000年に京都山科に吹きガラスの工房を設立する。2014年11月には京都祇園にてガラスショップ「PONTE」を開店。2020年に工房を京都八瀬に移し、美しい緑豊かな山並みに刺激を受けながら、作品を制作する。