仁城義勝 木のうつわーありがとう、仁城さん!

仁城義勝
木のうつわーありがとう、仁城さん!

Yoshikatsu NINJO | LACQUERED WOODEN WORKS - ARIGATO, Ninjo-san!

2021年1月3日(土) - 1月25日(月)

11:00 - 18:00 火曜定休
作家在廊 1月9日(土) - 15日(金)

VIEWING ROOM
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ZOOMでのお買い物
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仁城さんから、「引退します」という手紙が届きました。1997年から始まった仁城義勝さんと日日の二人三脚が終わります。仁城さんが辿ってきた道を、木のうつわを通じてみなさんと分かち合いたいと思います。最後の展示会で、 定番のお椀のほかにも、若い頃に作った混沌の形、稀にみる大きな器、心からの拍手を新年の日日に並べます。

「樹と向き合い器をつくることを通じて、自分の心の奥深くへと、旅をすること。特別なものをつくるのではなく、心を感じてもらえる器の姿を木の内に見いだすこと。それが私の仕事だ。

ロクロの仕事を始めるときに、頭のなかに仕上げたい形のはっきりしたイメージがない。木に応じて挽く。そうして木と話し合いながら形が段々と現れてくる。

自分の手が鉋をもって木を削るではなく、手と鉋が木自体に動かされているような気になるときがよくあるのです。仕事するよりは、遊ばしてもらうという感じ。私が木に甘えている。

特別なことを表現するとか、自己表現に満ちたものを造る気持ちは一切ありません。私が見せたいものはそういった特有なものへの思い、憧れ、欲を切り捨てた後に残ったものです。」

木が教えてくれるままに手と鉋を動かすうちに器が生まれると仁城さんは言う。余分なところがないものだからなのか、毎日気がつくと手の中にあったり、目の中に静かに映っていたりする。こう言ったものが昔の京都の暮らしの中にはたくさんあったような気がする。(2001年1月@ふじたアートDMより)

「凄い、これは『引算』の器です」と、長いこと器を眺めていた人が言いました。「引算?」と訊いてみると、「余計なものを全て取り払った結果、自然にできたものに感じます」と答えが返ってきました。(2002年9月@ドイツハンブルグでの個展にて)

育ち合う あかちゃんとかあさん かあさんのおちち 初めて口にする器
用の器 生まれてくる原風景! 母性の慈愛!
こんなことを思いながら仕事をしています。(2006年11月@ギャラリー・イシュDMより)

樹達の命は器作りをさせてくれる。僕のように、うつわをつくることで自分のこころを旅する者にとっては、それが杖でもあり、鞭でもある。(2007年11月@日日DMより)

木のいのちを削ぎ取り、器のすがたを現す。(2009年1月@日日DMより)

母が人間にとって、最初の命のうつわであるように、われわれが使う器も、母性的でなければならない。と仁城さんは考えている。彼が挽き育てる木の器は、実にとても静かで、暖かい力が篭っている。(2011年2月@日日DMより)

「俺のは、しゃべりすぎてるなぁ」
(自身の合鹿椀と仁城さんのお椀を並べて、角偉三郎さんは呟いた)

本展示会を以って、仁城さんのうつわの入荷は最後となります。ギャラリーにお越しになれないご事情を鑑み、定番を中心とした作品の一部を、1月3日(日)よりVIEWING ROOMで公開いたしますので、併せてご覧ください。今回は若い頃の作品や蔵出しの作品なども仁城さんからお預かりし、会場にて特別に展示販売いたします。

また、1月13日(水)には、京都精華大学にご尽力いただき、美術家の小松敏宏氏、文筆家の米原有二氏を交えたトークイベントをオンラインでお届けします。「美しいは人間が作った言葉でよくわからない言葉のひとつ」と、無垢な姿勢を求め続けた仁城さんに、つくること、生きることを伺います。>イベント情報をみる

ありがとう、仁城さん!

 

仁城 義勝|YOSHIKATSU NINJO
1944年韓国生まれ。日本に引き揚げ後、下駄職人だった父を見ながら木に囲まれて育つ。中学校を卒業すると、さまざまな職業や住まいを転々とした。夜間学校に行き直して、高校を卒業する。仏教書やニーチェをよく読んだ。1974年、友人の紹介で、富山県の庄川にある小西久夫の工房で、木地職人に弟子入りする。木地職人の修業が終わると、1978年から1980年まで秋田の漆器工房に入って、漆の基礎を身につけた。独立して倉敷市に自分の仕事場を設けたが、1988年には、田舎に住みたいという長年の願望を果たし、岡山県井原市の近郊にある小さな農家に工房を構える。2020年、本展示会を以って引退。

photo by Yusuke NISHIBE

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