俵

七福神のひとりである大黒様が、米俵に立っているのを覚えている方があるかもしれません。元々ヒンドゥー教におけるシヴァ神の化身で、密教とともに日本に伝来したと言われる大黒様は、江戸時代になると米俵に乗る姿に変容し、食物、そして財福の神様として信仰を集めました。古来、俵は米だけでなく、塩や炭といった生命に欠かせない物品を保管し、流通させるための大事な結いの技術であり、経済の中心でもありました。人々の豊穣を願う切なる思いと豊作への感謝が込められた俵のモティーフには、工芸を思わせるような洗練があります。日本の美学を表すしめざかりと言えるでしょう。

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