
Morimitsu HOSOKAWA | LIVING WITH TEA
2025年4月25日(金) - 5月12日(月)

細川護光さんが陶芸の道を歩み始めてから26年。
数年前から、護光さんは熊本の地、細川家に縁のある出水神社の宮司としての顔も合わせ持つ。神に身を奉じ、土に身を捧げる。その生活は天と地を体ひとつにつないでいるようにみえる。
数年前、そんな多忙な護光さんに新茶展をお願いしたところ、彼の言葉が鼓を打つようにポンと響き、空気が澄み渡った。
「喜んで。以前から手捻りの湯呑みを造ってみたかった。これまでやったことのない湯呑みを作りましょう。」
2019年に新茶展にお誘いして以来、じつに6年ぶりの再会である。このたび届いた湯呑みを見た途端、触れてみたいと思わずにはいられなかった。
手捻りの造りには一つとして同じ姿はなく、孤として強い存在感を放つ。
平らな面は、内側に木のコテを当て、外側を木の板で叩いて伸ばし、大らかに整えている。
内を覗き込むと、土を指でのばした痕である。
見るたび、触れるたびに真新しい印象を持つのは、まるで花や木を見るような心地と言えようか。そして触ればまるで護光さんと握手をしているような。ふっくらと膨らんだ花の蕾が、自らうち破いて開いたような明るい焼き物。彼の内面にこの数年の間に起きた何かを感じずにはいられない。

今年の新茶展では、細川護光さんをお迎えします。南阿蘇の登り窯で焼いた、湯呑みを中心に、旅茶盌、赤楽の銘々皿、小壷や一輪挿しなどののびのびした新作がならびます。





細川護光|Morimitsu HOSOKAWA
1972年東京都生まれ。1999年より三重県の伊賀土楽窯にて福森雅武氏に師事。その後、湯河原不東庵を経て、2006年熊本にて開窯。翌年南阿蘇に登り窯を築く。以降、熊本を活動拠点にしながら、各地で個展を開催。最近は手捻り作品に注力している。