仁城 義勝 木の器

仁城 義勝
木の器

Yoshikatsu NINJO | LACQUERED WOODEN WORKS

2016年11月25日(金) - 12月4日(日)

作家在廊 11月27日(日) - 28日(月)
10:00 - 18:00
会期中無休

工房のなかに、乾ききった木の香りがぬくもりを持って充満している。粗取りされた木塊が、壁面いっぱいにうず高く積まれ、やがて訪れるロクロの時を静かに待つ。

仁城さんは、木を刳るときに物差しを使わない。フシや窪みも見どころに変わるよう、それぞれの木の声を聞きながら、丁度いい加減でロクロを止める。定番の器とてどれひとつ単調なものがない。「木の命を丸ごと引き受けて、すべてを生かす。それが僕の仕事だと思うんよね」

材料になるのは栃と栗、形には細心の注意が払われている。「毎日使ってほしいから。飽きられるのが一番こわい」沢山の器を使い込んだ目利きが立ち戻るところに、仁城さんの木の器がある。

仁城 義勝|YOSHIKATSU NINJO
1944年韓国生まれ。日本に引き揚げ後、下駄職人だった父を見ながら木に囲まれて育つ。中学校を卒業すると、さまざまな職業や住まいを転々とした。夜間学校に行き直して、高校を卒業する。仏教書やニーチェをよく読んだ。1974年、友人の紹介で、富山県の庄川にある小西久夫の工房で、木地職人に弟子入りする。木地職人の修業が終わると、1978年から1980年まで秋田の漆器工房に入って、漆の基礎を身につけた。独立して倉敷市に自分の仕事場を設けたが、1988年には、田舎に住みたいという長年の願望を果たして、岡山県井原市の近郊にある小さな農家に工房を構える。現在は、息子の逸景とともに事に仕する。