Mitsuo MORIOKA | WHITE PORCELAIN VASES
2019年6月14日(金) - 7月1日(月)
古希を越えて、森岡さんは新しいやきものに挑戦しはじめた。若き陶工の眼に、半世紀の間ずっと焼きついていた白磁の「温かな白」。三年の試行錯誤を経て、森岡さん初の白磁展となる。
山法師が笑い、初夏が射す。仕事場の向こう側に、北アルプスに残る冠雪が見える。「まだ春の白だね」と森岡さんが言った。生活の中にある豊かな白に、自分が求めてきた色があるという。
点ひとつない白もあれば、窯変によって生まれた景色の混じる白もある。今回はあえて形をひとつに絞り、薪窯で焚いた八十通りの白、八十通りの大きさで、白磁の花入をお披露目します。
森岡光男|MITSUO MORIOKA
1944年、神奈川県逗子市生まれ。鎌倉の名月窯で修業の後、萩、備前、沖縄など様々な窯をめぐり、ありとあらゆる技法や技術に習熟した。1972年、備前に落ち着き、弟と共に登窯を築く。イサム・ノグチがここを訪れたのは、森岡が31歳の時だった。ノグチの芸術と人間性に打たれ、ノグチから刺激を受けて渡米。ニューヨークでは、何度もイサム・ノグチを訪問し、シアトルではあるアメリカ人の陶芸家のために窯を作る。一年間の米国滞在の後で数ヶ月、ヨーロッパ各地を旅する。1977年、日本に帰国。まず、長野県池田で、灯油窯で釉薬をかけた陶器を焼く。1982年には人里離れた谷間にある八坂村に登窯を築いた。それ以来焼き締めのうつわ作りに没頭する。