會田竜也 ちいさな家具

會田竜也
ちいさな家具

Tatsuya AIDA | SMALL FURNITURES

2020年12月4日(金) - 12月21日(月)

作家在廊 12月5日(土)
11:00 - 18:00 火曜定休

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威張らず、声高にもならず、木が樹として在るような静かで暖かなぬくもりが、會田竜也さんの形です。それは、會田さん自身でもあります。彼が木を選んだのか。樹が彼を選んだのか。ともかく15年前に會田さんは木の道具を作り始めました。

金物を使わず、材木の形に工夫を凝らして、木と木を丈夫に且つ麗しく繋ぐ「木組み」。湿度や温度、経年変化による木の収縮や歪みを吸収する日本古来の技術は、今では神社仏閣を保存するために限られた職人だけが知り得るものになりつつあります。今回、日日での初めての個展のテーマとして會田さんが挑んだのは、この木組みの仕事です。

木の粘り気や節々を受け入れながら、継ぎ手(材を継ぎ足す接合)、仕口(角度をもって材を組み合わせる接合)、組手(部材が交差する箇所)、差口(一方の材側面に他材を取り付ける接合)などの独特の仕組みを細部に施し、釘やネジを使わずに木を組むことで、手仕事でしか辿り着けない、強く、滑らかな姿へと昇華します。

素材となるのは、様々な樹種。キハダ、桑、黒柿や梅、ウォルナットやローズウッド、、、それぞれの樹が持つ色や肌合い、節や木目の流れなどを生かして余計な加飾をせず、樹景を生かす必要最低限の仕上げで整えています。

木はときに激しくあらがい、手なずけようとする人を容赦なく拒みます。力を持って制しようとすれば、あっけなく折れてしまいます。會田さんの「やってみないとわからない」という言葉で、私たちは振り返るのです。樹は決して人のために育っていない、ということを。たとえ製材されていようと、伐採されてから何十年と経っていようと、木には未だ荒々しくたくましい命が宿っています。

私たちが考える小さな家具とは、たとえば板一枚、そこに石ひとつを置いてみることから始まります。そうして生まれた結界は、見慣れた風景のなかに、全く新しいインスピレーションを連れてきます。喜ばしいハプニングにあふれた木と會田さんからのギフトに、ぜひ逢いに来てください。

會田竜也 | Tatsuya AIDA
1976年に山形県生まれ。大工だった叔父の影響で、小さな頃から木は生活のなかにあった。東京学芸大学で美術教育を学び、京都市立大学大学院で木工芸を専攻。しばらく東京の設計会社で働いてみて、手づから作る仕事がしたくなった。岡山の家具工房で見習いを経て福島で独立。2011年の地震をきっかけに兵庫の田園にある古い家を工房と住まいにする。本展は日日での初個展となる。