Hisako SEKIJIMA | BASKETRY
2024年12月6日(金) - 23日(月)
「編む」という技法と歴史を徹底的に分析し続ける関島は、生活道具との強い結びつきから敢えて切り離すことによって、バスケタリーの新たな可能性を引き伸ばそうと果敢に取り組んできました。1978年以来、その数は驚くことに2024年現在で700点までに及ぼうとしています。
関島の作品は、用途や機能を問わせない強い存在感を放ち、対峙する私たちを積極的に既知の未知へと誘います。
関島がバスケタリーに用いる素材は、編みやすく育てられた植物ではありません。自然界に自生する植物だけを用い、それぞれの形質に緻密に忍耐強く付き合いながら、組織の新たな可能性を引き出すことによって、設計図では表現しきれない線が作品を構成します。組織は編まれることによって構造となり、輪郭をつくり、平面から立体へとリズミカルに変容していきますが、そのリズムさえも素材の形質がもつ造形の定式となり、綿密に組み合わされた知の産物としてのかたちを生み出すのです。
2024年最後の展示会として、日日では、バスケタリーアートの第一人者である関島寿子による個展「バスケタリー」を開催いたします。京都に於いて3回目となる今回の展示会では、「結ぶ」、「組む」、「捻じる」、「縒る」また「絡める」などあらゆる技法と天然素材を用いた「バスケタリーの定式」の集大成ともいえる作品が揃います。
関島寿子|Hisako SEKIJIMA
1966年津田塾大学英文科卒業。28歳の時に趣味としてラタン編みを始めた。1975年、夫の赴任地であるニューヨークに移る。ニューヨークの美術館やギャラリーを通して、さまざまな異国文化に接し、古来からの編み技法をじっくりと研究する機会を得た。米国の現代編み技法(バスケタリー)の最先端アーティスト(エド・ロスバック、ジョン・マックイーン)との出会いによって、初めてバスケタリーへの目を開かれる。このアーティスト達が、古来の編み技法をマスターしながらも、やがて自らの斬新的な手法を見出して行くのに魅力を感じ、この時から、バスケタリーのみに専念するようになる。多種多様な天然素材との取り組み、奇抜な編み構造を生み出す豊かな着想力、絵画的な想像力、作品の日常性と非日常性。そして魅力的なキャラクター。今日、関島寿子は世界的なバスケタリーの第一人者である。
主な著書
「バスケタリー。バスケットから草の靴までのプロジェクト」1986年
「自然を編む」 創和出版 1986年
「バスケタリーの定式」 住まいの図書館出版局 1988年
「バスケタリーの定式:かごのかたち自由自在」 平凡社 2024年
photo by Yusuke NISHIBE