Tatsuya AIDA | WOODEN TEA CADDIES
2023年6月2日(金) - 6月19日(月)
木の茶筒
くり抜いた幹の筒に、樹葉を仕舞うのだ
樹葉は極限まで乾いてもなお、碧色に照り、芳香を醸している
焼いた土の容れ物のなかに
撚れた葉をひと掴み入れて
水という命がふたたび注がれる
炎にくべられた泥は形を与えられ
ひと雫の水をも漏らさないほどに繋がり合う
幹は根を持たず、土に還らず、手から手へと動き回る
一服の茶のなかに見るものの全ては
自然でありながら、何ひとつ自然なままにあるものはない
會田さんと相談しながらつくった木の茶筒
唯一無二の手間ひまのかかる仕事
そのままの姿で生まれてきたかのように
手を離せば、音もなく蓋が合口を滑り落ちる
わずかにカーヴした胴に手が馴染む
まるで一本の木
くねくねとねじれた細い幹から真っ直ぐな材料をとることに始まり
虫喰い、乾き具合や腐りなど
外から見極めきれない条件を全部のみこんで
木と仕事をすることの難しさを
この茶筒は語らない
ありそうでないもの
普通に見えて、普通でないもの
そういうものがいいと會田さんがいう
その言葉の重みすら
華麗に
軽やかに飛び越えてしまう
新茶の季節に合わせて、約3年ぶりの展示会、卓越した職人の技、會田さんの茶筒が届きました。棗や茶箱にも使える豆サイズから、50グラムにちょうど良いSサイズ、100グラム用のMサイズ、大きめサイズのLサイズをご用意しています。
黒柿、ローズウッド、梅や花梨、ウォルナットなどの希少な銘木を主に使っていただいているため数量限定となります。素晴らしい茶筒です。ぜひ手にとってご覧ください。
會田 竜也|TATSUYA AIDA
1976年山形県生まれ。大工だった叔父の影響で、小さな頃から木は生活のなかにあった。東京学芸大学で美術教育を学び、京都市立芸術大学大学院で木工芸を専攻。しばらく東京の設計会社で働いてみて、手づから作る仕事がしたくなった。岡山の家具工房で見習いを経て、福島で独立。2011年の地震をきっかけに兵庫県へ移住。代表作ともいえる茶筒は、親から「茶筒がほしい」と言われたことがきっかけになる。
写真:西部裕介